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イデオロギーのろんりがく
イデオロギーの論理学
戸坂 潤
「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页
というものは真理というものよりも、次元が一つ先に進んでいると云って好いであろう。真理を有つものが仮に神であるとするならば、神が一歩次元を進めて、人間の世界にまで堕ちた時、初めて人間的虚偽が成り立つのである。今、神を理想とすれば人間的世界は現実に相当するだろう。そこで真理を理想と等置すれば虚偽は正に現実と等置されるべきである。処が理想と呼ばれるものはただ現実にとってのみ欲求の対象であることが出来る。理想を追求することは現実から出発すること以外に自らの動機をもつものではない。もし現実の内に理想への鞭がないならば、現実の内で現実的に生きている吾々人間にとって、理想は一体どこから来る縁があるのか。現実から出発する外はないということは凡そ人間的存在の根本的規定であるであろう。この現実としての虚偽から――理想としての真理からではない――吾々は今出発する。吾々は真理に関する問題を却って、虚偽に就いての問題として意識する。
人々は愛すべき又哀れむべき、同情すべき又悪むべき虚偽に於て生きている。吾々は今、何か宗教的な意識に立ってそう云うのでは必ずしもない。そうではなくして正に理論的乃至論理的な意識に立って、愛すべき又憐むべき、同情すべき又悪むべき虚偽を事実眼にする、と云うのである。