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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

人々は、誤謬と虚偽とを区別して次のように云うかも知れない。誤謬は無意識の内に犯した誤りであり、之に反して虚偽とは意識して犯した誤りである、と。誤謬と知りながら之を訂正せず又は故意に真理を抂げることが虚偽であると考えられているであろう。誤謬は誤謬と気付くことによって無論直ちに消滅するのが健全な場合である。併し独り誤謬ばかりではなく、虚偽であっても、このような――意識的誤りとしての――虚偽は、実に容易に的確に虚偽として露顕する、もしくは自らの虚偽自身に飽いて虚言者は自発的に実を吐くことが出来るであろう。何故かと云えばこのような虚偽は――意識して犯されたる誤りとしての虚偽は――とりも直さず意識(良心)の分裂であり、どのように鈍い良心(意識)であってもこの分裂の張力を痛みとして感じることが出来るであろうから。意識して犯されたる誤りとしての、この種類の虚偽は云わば度し易い。吾々が今問題とするのは、このように度し易い意識的虚偽ではなくして、正に虚偽として自覚されない無意識的虚偽、虚偽としてではなく却って卓越した真理としてさえ意識され得る処の執拗な虚偽なのである。