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イデオロギーのろんりがく
イデオロギーの論理学
戸坂 潤
「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页
それ故人の虚偽が――無論虚偽とは意識せずに――提出する一定の意識内容は、却って良心が一臂の力を貸すべく乗り出す絶好の材料を提供するものでさえあるのである。かくて良心はそれが良心であるが故に、却って無意識的虚偽の保証人となり弁護者となることが出来る。無意識的虚偽は良心を買収するのに成功することが出来る。カトリック教徒も良心を持ちプロテスタントも同じく良心を有つ。欧州大戦は、主としてドイツとフランスとの二つの良心――祖国愛という――の名に於ける同じ良心同志の血闘として意識されはしなかったか。かくて人々は今や良心を――この甘き良心を――あまり信じることを許されない。実際自らの良心を疑うことこそ却って良心的ではないのか。無意識的虚偽は所謂良心に会ってすら消滅しない程、それ程複雑であり執拗である。
理論乃至論理に於て、何がこのように複雑にして執拗な無意識的虚偽であるか。併しながら、無意識的虚偽の一つ一つの場合に就いて語ることは、事柄の性質上出来ることではない。吾々は無意識的虚偽が、原理的・原則的に、即ち組織的に、一定の形態を有つことが出来る場合についてだけ語ろうと思う。