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イデオロギーのろんりがく
イデオロギーの論理学
戸坂 潤
「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页
この点に於て個人は事物と少しも異る処を有たないであろう。処が個人は事物と異ってその歴史的運動の自覚を有っている。そしてこの歴史的運動――それは自己解釈(自覚)乃至自己待遇(行為)として現われる――に寄与するものとして自己の性格を意識しているのである。性格のこの自己意識によって個人の性格は何か任意な他から独立な自由として現われることが出来るのである。併しながら自覚されたる自己の性格は必ずしも真の性格ではないことを人々は注意しなければならないであろう。彼が一人の詩人として自己の性格を見出したということは、少しも彼が詩人としての性格の主であることを保証しない。彼の性格が詩人であるか無いかは、彼が詩人振って自己解釈し乃至自己待遇する――個人の自覚されたる歴史的運動に寄与する――ことによって決定せられるのではなくして、却って他の人々が彼を詩人として理解するのを媒介として彼の特色を理解する――個人の自覚されざる歴史的運動に寄与する――ことによってのみ決定せられるのである。実際個人は自己の性格を自覚しようとすることによって、却って振ることが出来る危険をもつ。この危険をもたないためには彼は自己を公平に客観的に見なければならない。