轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页
私をどんな風に思っているか、正直に云ってごらん。サア」
「ああ、とうとう、あなたはそれをおっしゃいました。でも、私は今は怖くって怖くって」
千代子の声は泣きじゃくる様に、途切れ途切れでした。
「だが、今が一番いい機会なのだ。私達の側には誰もいない。お前が何を云おうと、お前が恐れている様に、世間には聞えないのだ。私とお前の間に、何のかくし立てがいるものか。サア、一思いに云ってごらん」
真暗な谷間の浴槽の中で、不思議な問答が始ったのです。その情景が異常である丈け、二人の心持には、多少狂気めいた分子が加わっていなかったとは云えません。殊に千代子の声は、もう妙に上ずっていたのです。
「では申上げますが」千代子はふと人が変った様に、雄弁に喋り始めました。「打開けて申しますと、私もあなたから聞きたくって聞き度くって仕様がなかったのです。どうかそんなにじらさないで、本当のことをおっしゃって下さいまし。……あなたは若しや菰田源三郎とは、全く別な方ではなかったのですか。サア、それを聞かせて下さいまし。あの墓場から生き返っていらしってからというもの、長い間私は、あなたが本当のあなたかどうかを疑っていたのでございます。