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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
しかるに見よ「わが法度」は儼としてそこに立つ。神は「関及び門」をそこに設け給うて過らない。我らは海岸に立ちて、脚下に襲い来る丈余の浪が忽ち力尽きたるが如くに引退くを見て、ヨブ記のこの語の妙味を悟り得るのである。我らは九十九里ヶ浜の渚に立ちて、寄せ来る太平洋の高浪を見てその強烈なる力に驚く。このエネルギーを利用して電力を起さしめんと計画しつつある人がある。しかるにそれほどの力を以て寄せ来る浩波も、打ち破りがたきある力に制せらるる如くにそのまま後退するのである。神は実にある制限を設けて、人の御し得ぬ海を御し給うのである。
◯ヨブ記のこの見方に対しては、今日の科学者に種々の批評があるであろう。しかし今日の進歩せる自然科学といえども、その幾多複雑なる研究を以てして、つまりはヨブ記と同一の言を発する外はないと思う。有名なるドイツの科学者フムボルトは科学者は自然現象を説明し得るもその意味を解く能わずというた。巨大なる太平洋をして全地を蔽わしめざるよう、これを囲みて陸地の大堤防が儼として存するを見る。わが日本島の如きはその堤防の一部であると見られる。南氷洋を囲みて同様なる陸の堤ありと探検家はいう。