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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
◯五節―七節は友の言の無価値なるを冷笑した語である。「淡き物あに塩なくして食われんや、卵の蛋白あに味あらんや」というは、いわゆる乾燥無味砂を噛むが如しという類の語であって、エリパズの言に対する思いきった嘲罵である。
◯友今や頼むに足らず、友の言はいたずらに我を怒らすも、一毫の慰藉をも我に与えない。しからばわが願う所は依然として死の一のみと、かくて八節―十三節の語となったのである。「願くはわが求むる所を得んことを……願くは神われを滅すを善しとし御手を伸べて我を絶ち給わんことを」と彼はひたすらに死を希う。前説せし如く彼は死を願えども、それは神が己を取り去り給わんことを願ったのである。決して不自然なる自殺を望んだのではない。自殺などということは彼の思うだにしない所であった。これ大に注意すべき点である。
◯十四節―三十節は、友の頼みがたきをを述べし言として頗る有名である。文学的意味においても価値と名と共に高く、西洋の文学書にしばしば引用せらるるものである。まず十四節において友の同情心の不足を責めて軽き脅迫を与え、十五節―二十節においては友を沙漠の渓川に譬えて、生命を潤おす水を得んとてそこに到る隊客旅(Caravan)を失望慚愧せしむるものであるとなしておる。