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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
十一節に「蘆あに泥なくて長びんや、葦あに水なくして育たんや」とありて、この二つの植物が水辺に生ずるものなることを示している。「蘆」と訳せるはパピラス(Papyrus)であった。これエジプトにありてはナイル河の水辺、パレスチンにありてはメロム湖の周辺に生ずる草である。これを以て古代人は紙を製したのである。英語にて紙をペエパー(Paper)と呼ぶは、パピラスより出でたのである。また日本訳聖書に「荻」と訳せしはむしろ「葦」と訳すべきもので、これまた水辺に育つ草である。十二節に「これその青くしていまだ苅らざる時にも他の一切の草よりは早く枯る」とあるは、旱魃来りて水退くやこの二つの草が忽ち枯るることをいうたのである。この両節の如きは、古代博物学の資料として値あるものである。しかして十三節に「神を忘るる者の道はすべてかくの如く、悖る者の望は空しくなる」とありて、神を忘れ道に悖る者は旱魃時のこの二つの草の如く、その繁栄一朝にして消え失すとの意を述べている。これ第一の引例である。
◯次の十四節には「その恃む所は絶たれ、その倚る所は蜘蛛網の如し」とありて神を忘れて他の物に頼ることの空しきを述べている。