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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
との痛切なる叫びを発したのである。無学者の軽き煩悶と浅き解決ではない、大学者の重き煩悶と深き解決である。その煩悶の深刻なりしと共に、勝利は絶大であったのである。
◯九節において星辰界の神秘を述べたるヨブは、十節においては更に進みて「大なることを行い給うこと測られず、奇しき業を為し給うこと数知れず」という。その当時の幼稚なる天文知識を以てすら、神の聖業の驚異すべきを知る。まして今日の進歩せる天文知識を以て宇宙の精妙荘美を知る我らは、益々造化の神を讃美すべきではないか。しかるに事実はこれに反して科学の進歩はかえって神を駆逐する傾きを生じ、今日の科学は人を神に導くものでなくして神を否定せしむるものとなった。これ実に痛歎すべき事であって、理想の状態の正反対である。近世の科学者中にてもニュートンの如き敬虔なる信仰家ありといえども、その多くは仏の天文学者ラランドの類である。彼れラランドは一生涯を天体観察に献げた人であるが、彼は言うた「余の望遠鏡に神の映りし事なし、故に神は在る者に非ず」と。現今いわゆるキリスト教国の科学は大抵は無神論の味方である。
◯九章前半は神に対する強き疑いの語である。