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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

例えば鉄と金との差は、鉄の原子の原子核と、金の原子の原子核との差にあって、元素は不変なものというのは、この原子核が万代不易の物質窮極の姿であるということである。

以上が原子構造論、即ち近代原子物理学の素描であるが、この学問は案外歴史が浅く、極めて大づかみにいえば、今世紀にはいって軌道に乗り、約三十年のうちに、一応の完成を見るまでに発達したのである。この間の舞台には、J・J・トムソン、キュリー、アインシュタイン、プランク、ボーア、ハイゼンベルク、ドゥ・ブローイーなど、錚々たる物理学者たちの登場があった。しかしその間終始この原子物理学において、歴史的にみてその嚮導の任にあたったものは、英国のキャヴェンディシュ研究所であったように思われる。一九一四年に所長ラサフォード卿が主催した、王立学会における原子構造の討論会は、遂にその歴史的使命をはずかしめなかった。

原子核を物質窮極の姿であるとする概念は、ギリシヤ哲学の近代化であり、物理学はこの面で一期を劃した。しかし人智の進歩は、ここでさらに次の飛躍を試みた。この原子核自身の構造の研究、進んではその人工崩壊による元素の転換に、歩を踏み入れたのである。