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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
こういう時に、飛行場へ引き返そうとして、すぐに旋回をしてはいけないのである。あの程度の大型飛行機になると、旋回で高度がかなり落ちるので、低空で旋回することは、大いに危険なのである。もちろん操縦士は、十分心得があるので、そのまま直線飛行をつづけていた。これなら安心だと思ったが、厄介なことに、発動機が一つ止っているのと、超満員の乗客だったもので、飛行機がなかなか上昇してくれない。そのままで十分近くも飛んで、やっと必要高度がとれて、無事飛行場へ引き返すことが出来た。しかしその間、やはり気味は悪かった。それからマーチンに乗り換えたわけであるが、今だったら、皆が少し尻込みをしたかもしれない。安全率と心理作用とは、別問題である。
四月九日朝、七時三十三分。日本航空会社福岡定期第一便マーチン二〇二型「もく星」号が、羽田を出発した。気象状態は、千ミリバールの低気圧が、潮岬の南方にあり、天気概況は「本邦の天気は全般的に悪くなってきている」という程度であった。天気予報も「北東の風くもり勝ち、時々小雨」というので、現代の飛行機にとって、航空不適というほどではなかった。