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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
しかも東洋というハンディキャップを入れての話であるから、こういうことは、世界的にいって、ちょっと類例がないであろう。これにはもちろん、湯川さんや朝永さんを初めとする日本の理論物理学者たちの力が大いに働いているが、その外に、日本の科学界が蘇生したという点も、一つの有力な背景をなしている。そしてその蔭には、ケリイさんの隠れた功績が、少なくも一つの礎石として、立派に存在しているように思われる。
ケリイさんに初めて会ったのは、終戦後そう間もない頃で、たしか冬の初めであった。あの頃のことは、記憶が少しぼんやりしていて、最初の冬であったか、次の年の冬であったか、はっきりしない。とにかくまだひどい時代であった。北大の各研究室の様子を見にきたわけであるが、当時の北大は、石炭不足のために煖房が止っていた。札幌の冬を煖房なしには過せない。従って講義は冬季の四か月間休講、病院も半分閉鎖、手術もたしか一週一回という状態であった。手術室を毎日暖めることが出来なかったからである。「盲腸になるんだったら、夏まで待たなきゃあ」と冗談をいっていたが、実際気の毒な急患もあったことであろう。