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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

冬の北海道は、五時になればもう真暗になってしまう。夜の石狩の原野の真中で、吹雪にあうということは、冗談ごとではない。御者も大いにあわてて、懸命に馬を走らせるが、いつまで行っても、暗黒の原野で、吹雪はますます激しくなる。まさに遭難の一歩手前というところまでいってしまったらしい。

その時に、幸運にも、かすかな灯を一つ見附けたので、とにかくそこへたどりついて、救いを求めることにした。行って見たら、小さい一軒屋で、北海道によく見る貧しい百姓家であった。迎え入れてくれたのは、腰の曲った六十あまりの老婆で、もちろん英語など片言も分らない。普通の日本語もよく通じないような老婆が、北海道の辺鄙な農村にはよくいるが、そういう人であったらしい。

その老婆が、非常に親切に、ケリイさんを招じ入れて、いろりの側に坐れという。もちろん手真似である。そしていろりに薪をどんどんくべて、ケリイさんの身体を暖めてくれた。吹雪の夜に、行きくれた旅人が、救いを求めてくるということは、昔から日本の雪国には、時々あったことなので、この老婆にも、そういう場合の処置が、半ば本能的に身についていたのであろう。