轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かずえはいそがしい

主計は忙しい

山本 周五郎

「奇譚」1940(昭和15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,315 字 · 37 页

青空文庫

――麻布六本木の脇坂家から飯倉の松平伊賀、次に芝桜川町の松平右京家、愛宕下の島津兵部、そして金杉橋の戸田大学という順である。戸田を済ませて出るともう町は黄昏だった。

「やあ御苦労、帰っていいよ」主計は勇作にこう云った、「――おれは用事があって銀座のほうへまわるからな、じゃあ」

そしてさっさと歩きだした。――勇作はそれを見送りながらにやにや笑った。出稽古の帰りには三日にいちど必ず「銀座へまわる」と云って別れる、半年ばかりまえからのことでおかしいと思ったから或日そのあとを跟けてみた。すると銀座などというのは嘘で、芝神明のはなやかな町へゆき、とある横町の粋な造りの家へはいる、近所できくと荻江節を教える家だそうで、師匠は園次という美しいので評判の女だということであった。

――あの忙しいからだでよくそこまで手がまわるな、呆れたものだ。

道場へ帰ってその話をすると、みんなそう云ってあっけにとられた。中にはまたそのくらいの道楽がなければ却って躯が続かんだろうと云う者もあり、先生の耳へはいれないようにと注意しあったものである。――そんなことがあろうとは夢にも知らず、主計は例のいそぎ足で神明へやって来ると、問題の「粋な造りの家」