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こじきがくせい
乞食学生
「若草」1940(昭和15)年7~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,682 字 · 68 页
得て快き寝床もあろうに。ばからしい。悪童の如く学び舎を叛き去った。いま、そのことを思い出す時、わが胸は、張り裂けるばかりの思いがする!」と、地団駄踏んで、その遺言書に記してあったようだが、私も、いまは、その痛切な嘆きには一も二も無く共鳴したい。たかが熊本君ごときに、酒を飲む人の話は、信用できませんからね、と憫笑を以て言われても、私には、すぐに撥ね返す言葉が無い。冷水摩擦を毎日やっていると言ってみたところで、それがこの場合、どうなるというものでもない。つまらない事を口走ったものである。けれども私には、それが精一ぱいであったのである。私には、謂わば政治的手腕も無ければ、人に号令する勇気も無し、教えるほどの学問も無い。何とかして明るい希望を持っていたいと工夫の揚句が、わずかに毎朝の冷水摩擦くらいのところである。けれども無頼の私にとっては、それだけでも勇猛の、大事業のつもりでいたのだ。私は、いまこの二少年の憫笑に遭い、自分の無力弱小を、いやになるほど知らされた。私が、ふっと口を噤んで片手にビイルのコップを持ったまま思いに沈んでいるのを、見兼ねたか、少年佐伯は、低い声で、