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ふたつのじょぶん

二つの

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页

青空文庫

すると次の編隊がすぐその後に続いて来て、同じことを繰り返す。その度に地上からは真黒い煙が立ち昇って、その煙がどんどん拡って行く。そういうことを、白昼堂々と何時までも繰り返している姿を現実に見ては、誰もが慌てるのも無理はない。今こういう話をしていても、明日はすっかり焼き払われるかもしれないし、或は今日の午後かもしれない運命なのである。

里見さんは、東京の御宅がすっかり焼けてしまって、本も材料も原稿用紙までも無くして、大変困って居られた。それに鎌倉のこの家も、明日とも言えない不安な状態である。ちょうどそういう時に、北海道の有島農場から、疎開をして来ないかという手紙が来たのだそうである。ずっと以前から農場の管理をしている老人のところから、こういう世の中になって、東京の人が色々伝手を求めて無理にも疎開して来るのに、有島の一家の方たちが、沢山居られるのだから、何方でも一人くらい来られたらどうか、住居と食糧のことは全然心配させないからという手紙なのである「武郎の子供たちはずっと前に疎開してしまったし、生馬も先だって信州の方へ疎開したから、行くとしたら僕が行くんだが」