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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页
ほんとうは各年のその日の気温は、その標準値の上下にかなりずれている。その標準値からのずれは案外大きいので、例えば札幌の九月十五日の気温を五十六年分平均した標準値は、十六・五度であるが、各年のその日の気温は、最高二十三度から最低十一度という広い範囲に変化している。もっともそうひどく標準値からずれている年は稀れで、大抵の年はもっと標準値に近い気温である。そのずれの様子を見るために、頻度曲線というものを作ってみる。頻度曲線というのは、或る気温の年が何回あったかを、気温の函数として示した曲線である。或る気温といっても、それには幅をもたす必要があって、この例ではその幅を一度とした。即ち気温が十四度から十五度の範囲内にあった年が七回、十五度から十六度の範囲内にあった年が十回という風になっている。それを十四・五度が七回、十五・五度が十回ということにして、全気温範囲について図示したものが第2図aである。ほんとうは五十六年ではまだ不十分なので、点はばらついているが、だいたい予期した山形の確率曲線になっている。この曲線の形で標準値からのずれの公算が表わされるので、それが丈が高くて幅の狭い形になれば、標準値からずれる範囲が狭くなるのである。