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にんげんせいかつのむじゅん
人間生活の矛盾
丘 浅次郎
「中央公論」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,798 字 · 36 页
四
またそれと反対に、もしも角の大小が生存競争における勝敗の標準でなくなったとすれば、角は次第に退化して小さくなるであろうが、この場合にもホルモンのことを考えに入れると、自然淘汰の働きの範囲が広くもなり、かつ大いに解りやすくなるように思う。従来は古代の絶滅した動物に見るごときある体部の過度の発育や、不用器官が次第に退化して終に影をも止めなくなることは、自然淘汰説によって説明することの困難なものの一つとみなされていたが、ここに述べた私の説は、この点で従来の自然淘汰説の足らぬところを補い、力を添えて難関を無事に超させてやることができる。
以上の私が懐手式に考えだした独創の理論で、根拠の薄弱なきわめて頼りないものではあるが、また、あり得べきことのように感ずるから、ついでをもって、表して置く次第である。自然淘汰説に関しては、これだけで止めとして、次に人類の過去に属する私の学説に移る。
四
原始時代における人間の生活状態は、今日から調べてもなかなか確かなことは解らぬが、まず下等の野蛮人やある猿類に見るごとくに数多くの小さな団体を造り、団体と団体とが絶えず争いながら生活していると仮定する。