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ふゆがれ

冬枯れ

徳永 直

「中央公論」1934(昭和9)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,850 字 · 48 页

青空文庫

小心で馬鹿正直で、その癖どっか依怙地な貧農気質が、血を享けた鷲尾にはよくわかる。たとえば今朝も鷲尾の女房が気を利かして、初めてみる二人の孫を連れさして、どっかへやったのだが、すぐプリプリ怒って途中から戻ってきた。

「おじいちゃンのバカヤロ……」

ワンワン泣いている上の男の子に訊ねると、途中でおじいちゃンが殴ったんだと云う。

「どうしたンだい、お父つぁン?」

と、鷲尾が訊いても、むっつり怒った父親は、土間の仕事場へきて坐ってしまった。

「大体、東京のガキは生意気じゃ……」

そンな癖、妹と口喧嘩するときは、きまって、俺ァ東京さん行ってしまう――と怒鳴るのだった。妹と父親はよく鷲尾夫婦の前でも喧嘩したが、そンなとき妹もやぶれかぶれの態度で、はァい、どこさんでんゆきなはりまッせ――と云い返すのだった。

「兄さん、あの「益城屋」の坊ッちゃんな、死ンなはりましたばい」

その妹が、何を思い出したかフッとそんなことを云い出した。

「幾田君が、何で?」

「たしか腹膜炎とかてち、それも永ァ間、………にひっかかって、監獄へ入っとなはったもん――」

鷲尾はギックリして妹の顔をみた。