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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
つらかったでしょう。
かえで 京へ来てからは毎日こき使われました。三味線や歌を習わせられました。よく覚わらないので撥でたたかれました。お稽古の暇には用使いから、お掃除から、使わねば損のように皆が追い使いました。私はいっそ死んでしまおうと思った事もありました。
唯円 そうまで思い詰めましたか。
かえで えゝ。お皿を一枚こわしたと言って、ひどく、しつこくしかるのですもの。犬だの、青猿だのとののしるのですもの。それでも私は黙ってお庭のお掃除をしました。でも口ごたえでもしょうものなら、それこそたいへんな目にあうのですからね。私はちり取りを持ってごみ捨てに川原に出ました。そして川の水の流れるのを見て立ちつくしました。その時私は死んでしまおうかと思いました。
唯円 ほんとにねえ。
かえで ねえさんがいてくださらなかったら、私はきっとあのころ死んでいたでしょう。
唯円 浅香さんはよくしてくれましたか。
かえで えゝ。影になり、日向になり、私をかぼうてくださいました。(間)私より小さい人が新しく来てからは私は少しはらくになりました。けれど今度はいやないやな事を強いられました。