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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
お勤めを怠るというような怠慢な事は思いも寄らぬ事でしたよ。
僧三 なにしろ今時の若いお弟子たちとは心がけが違っていましたからね。このように懈怠の風の起こるのは実に嘆かわしいことと思います。身に緇衣をまとうものが女の事を――あゝ私はとうとう言ってしまいました。
僧一 いや言うべき事は言わなくてはなりません。きょうまでは黙っていましたけれど、いつまでもほっておいては唯円殿のおためでありません。だいいち法の汚れになります。(声を強くする)唯円殿、あなたはきょう木屋町の松の家にいらしたのでしょう。
僧二 そしてかえでとやら申す遊び女のところに。
唯円 …………
僧三 何もかもわかっているのです。六角堂に参詣するとか、黒谷様に墓参のためとか言って、しげしげと外出あそばしたのは皆その女と逢引するためだったのでしょう。
唯円 すみません。すみません。
僧二 私はとくからあなたのそぶりを怪しいと思っていたのです。いや、今はもうお弟子衆でそれに気のつかぬものはありません。三人集まればあなたの事を話しています。
僧三 若いお弟子たちはうらやましがりますからな。私たちみたような年寄りはよろしいけれど。