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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

凡夫なればはらもたち、いつくしきものが、おしい、ほしいとおもう一念がおこるとも、二念をつがず、水にえをかくごとく、あらあさましやと、はらりと思い切り、なに心なくむねん、むそうにしておわし候わば、それこそまことの御心にて候え…………

親鸞 そのあたりは清い、涼しい法然様のおこころがよくあらわれている。(昔をおもうように)それは清らかなうつくしいお気質だったからね。わたしなどとちがって。その手紙は老体のお母上が御病気をなすって、いろいろと悲しいおたよりをなすった御返事なのだよ。

勝信 それでなぐさめたり、はげましたりあそばすのですね。ほんとに女のように、こまごまとしたお優しいお手紙ですのね。(よみつづける)まことのこころざしある人は、人のあしきことあらば、わが身のうえに受けてかなしみ、人のよきことあらば、わが身に受けてよろこび、なに事もわれ人へだてなく、あしかれとおもわず、人をそしらず、ねたまず、にくげ言わず、たよりなき人を、言葉のひとつもやわらかに、おとなしやかにひきたてて、少しのものもあいあいにほどこして、人をたすくるこころこそ、大慈大悲のきょうようにて候え。