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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
時々気になりましてな。
お兼 ごもっともでございます。
親鸞 (松若に)お幾つにおなりなさる。
松若 (顔を赤くする)十一。
親鸞 よいお子じゃの。(頭をなでる)
左衛門 少しからだが弱いので困ります。
親鸞 ほんに少し顔色が悪いね。
一同しばらく沈黙。
親鸞 良寛、ちょっと私の笈を見てくれ。最前杖があたった時に変な音がしたのだが、もしかすると……
良寛 (笈をひらいて見る)おゝ阿弥陀様のお像がこわれています。(小さな阿弥陀如来の像を取り出す)
慈円 左のお手が欠けましたな。
左衛門 (青ざめる)私に見せてください。(小さな仏像をつくづく見入る。やがて涙をはらはらこぼす)
親鸞 左衛門殿どうなされた。
一同左衛門を見る。
左衛門 私はたまりません。この小さく刻まれたお顔の尊いことを御覧なさいませ。私はこのお像を杖で打ちこわしたのです。この美しい左のお手を。指まで一本一本美しく彫ってあるこのお手を。私の魂の荒々しさが今さらのように感じられます。私は悪い事をいたしました。私の業の深さが恐ろしくなります。私は親鸞様を打ちました。お弟子たちをののしりました。そして仏像を片輪にしました。