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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
土佐へ御流罪の時などは、七条から鳥羽までお輿の通るお道筋には、老若男女が垣をつくって皆泣いてお見送りいたしたほどでございました。
僧三 私はあの時鳥羽の南門までお供をいたしました。それからは川舟でした。長くなった白髪に梨打烏帽子をかぶり、水色の直垂を召した聖人様がお輿から出て、舟にお乗りなされた時のおいとしいお姿は、まだ私の目の前にあるようでございます。
僧一 もうおかくれあそばしてから二十三年になりますかね。月日のたつのは早いものですね。私たちの年寄ったのも無理はありませんな。
僧二 法然聖人様と申し、お師匠様と申し、ずいぶん御難儀なされたものでございますね。きょうの御繁盛もそのおかげでございますね。
僧三 浄土門今日の御威勢を法然様が御覧なされたら、さぞお満足あそばすでしょうにね。
僧二 お師匠様もだいぶお年を召しましたね。
僧一 今度の御不例は大事ありますまいか。
僧二 いいえ、ほんのお風を召したばかりでございます。
僧三 御老体ゆえお大切になされなくてはなりません。
僧一 唯円殿がだいじにお仕えなさるゆえ安心でございます。
僧二 唯円殿はお若いのによく万事気がつきますからね。