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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

唯円 (涙ぐむ)あなたのお心は私にもよくわかります。

両人しばらく沈黙。僧一、僧三登場。

僧一 お師匠様はここにいられましたか。

親鸞 唯円と日向で話していました。

僧三 御気分はいかがでございますか。

親鸞 もうほとんどよいのだよ。ありがとう。

僧一 それはうれしゅうございます。大切にあそばしてください。

親鸞 お前たちもここでお話しなさい。本堂のほうはどうだった。

唯円、座ぶとんを持ちきたり、両人にすすめ、茶をつぐ。

僧三 いっぱいの参詣人でございます。お勤めが済みまして、今は知応殿の説教最中でございます。

僧一 知応殿の熱心な説教には皆感動したようでございました。

僧三 権威のある、強い説教でした。皆かしこまって聴聞いたしていました。

僧一 きょうの説教はことに上できでございました。

親鸞 やはり法悦という題でしたのだな。

僧三 御存じでいらっしゃいますか。

親鸞 知応が私に話した事もあるし、さっき唯円からちょっと聞いた。

僧一 宗教的歓喜というものがいかに富や名誉など、地上の楽よりもすぐれて尊いかを高潮してお話しなされました。

僧三 恋よりも楽しいとさえおっしゃいました。