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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
私たち無学な者にはわからぬかは存じませぬが、御教養の一部をお漏らしなされてくださいませ。
同行四 それを承りにはるばる参ったのでございます。
同行五 国のみやげにいたします。
親鸞 (まじめな表情になる)いやそのさまざまの学問は極楽参りの邪魔にこそなれ助けにはなりません。信心と学問とは別事です。たとい八万の法蔵を究めたとて、極楽の門が開けるわけではありません。念仏だけが正定の業です。もしおのおのがたが親鸞はむつかしき経釈をもわきまえ、あるいは往生の別の子細をも存じおるべしと心憎くおぼしめして、はるばる尋ねていらしたのならば、まことにお気の毒に思います。私は何もむつかしい事は存じませぬのでな。その儀ならば南都北嶺にゆゆしき学者たちがおられます。そこに行ってお聞きなされませ。
同行一 御謙遜なるお言葉に痛み入ります。なおさらゆかしく存じます。
同行二 北嶺一の俊才と聞こえたるあなた様、なんのおろそかがございましょう。
親鸞 北嶺南都で積んだ学問では出離の道は得られなかったのです。私は学問を捨てたのです。そして念仏申して助かるべしと善き師の仰せを承って、信ずるほかには別の子細はないのです。