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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

兵頭が、立ちかけると、新納が

「兵頭、引出物を取らそう」

と、叫んだ。

「引出物?」

兵頭が、新納を睨んで、身構えた。新納は、自分の脇差を抜き取って

「主水正じゃ。差料にせい」

と、兵頭の脚下へ投げ出した。兵頭は、暫く黙って、新納の顔を見ていたが、静かに坐った。そして、手をついて

「お許し下されますか」

じっと、新納の眼を見た。

「池上、そちにも取らそう。大刀を持て」

と、小姓へいった。そして、兵頭へ

「斉彬公が、軽輩、若年の士を愛する心が、よく判った。機があったら、新納が、感服していたと、申して伝えてくれい。ただ、池上、兵頭。噂に上っている牧、或いは調伏のことなどで、あったら命を捨てるなよ。近いうちに天下の大難がくる。それを支え、切抜け、天下を安きに置くは、もう、わし等如き老境の者の仕事ではない。悉くかかってお前達の双肩にある。よく、斉彬公を輔佐し、久光公を援けて、この天下の難儀に赴かんといかん。一家の内に党を立て、一人の修行者風情を、お前ら多数で追っかけるような匹夫の業は慎まんといかん」

二人は、だんだん頭を下げた。

「同志の者によく申せ――これ、馬の支度をして、送ってやるがよい。