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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

旅宿での、大酒、高声、放談も慎んで頂きたい」

浪人は、一々、うなずいていた。

「出立は、明後日?」

「左様、明後日ときめて、万事、某の指図をお待ち願いたい」

「では、支度に忙がしいゆえ、これにて」

浪人は、手をついて

「一同の人は、何処に。貴公のところ?」

「揃うておりまする」

浪人は、そう云って、腰を上げた。

「では、明後日早朝として、某は神奈川でお待ち申そう」

益満も、見送りに立上った。

益満は、座につくと

「深雪」

と、正面から、顔をじっと見た。

「わしは、予ての話の如く、明後日の早朝、牧仲太郎を討取るため、今の浪人共を連れて上方へ立つ」

深雪は、膝を凝視めて、鼓動してくる心臓を押えていた。

「人を討つに、己のみが助かろうとは思わぬから、或いは、これが今生の別れかも知れぬ。父に別れ、母に別れ、小太に別れ――今又、わしと別れて心細いであろうが、かかる運命になった上は是非もない――ただ――如何なる苦しみ、悲しみが押寄せようとも、必ず、勇気を失うなよ。じっと、耐えて、その苦しさ、悲しさを凝視めてみるのじゃ。それに、巻き込まれず、打挫かれずに、正面から引組んで味わってみるのじゃ。