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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
と、叫んだ。益満であった。
「夫は?」
「とっくに――今、敵の討手が、七人、吾々同志を追って参ったであろうが――」
と、いう内に、駕は眼の前を行きすぎていた。七瀬は、裾をかかげて走り出した。
「追っつきましたぜ、旦那」
駕の中の侍は、駕をつかまえて、身体を延した。そして
「垂れを下ろして――」
自分で、そういいながら、垂れを下ろしてしまった。七梃の中二梃には、槍が立ててあった。
同じ、宿場の駕として、四人仕立のが、二人立の駕を抜くのは当然であったが、二人仕立同士の抜きっこは、止められていた。だが、酒手の出しようで、駕屋は、対手に挨拶をして、抜いてもよかった。七人の侍の駕は、五梃の駕へ追いつくと
「兄弟、頼むっ」
と、棒鼻が叫んだ。
「おおっ――手を握ったか」
後棒が、振向いた。
「その辺――」
お互に、仲間の符牒で、話し合って、追い抜いてしまった。大磯と、小田原の間、松並木つづきで、左手に、遠く、海が白く光っている所であった。
小田原から、箱根越の雲助は、海道一の駕屋として、威張っていた。七百文の定賃に、三百文の酒手ではいい顔をしないくらいであった。美酒、美食で、冬の最中にも裸で担ぐのを自慢にしていた。