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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

その中に、士ばかりの一艘が、杯をやり取りしていた。

「朝っぱらから、結構なことや。何んやの、かやのいうて、人の金を絞り取りよって――」

「今度の御用金は、鴻池だけで、十万両やいうやないか。昔やと、十万両献金したら、倍にも、三倍にもなる仕事がもらえたけど、当節は、ただ召上げや。薩摩なんて国は、借りた金を、何んと、二百五十年賦――踏み倒すようなもんやないか。今に、徳政ってなことになって、町人から借りた金は返さんでもええ、ということになりよるで。こう無茶したら、大きい声でいわれんが、長いことないで。京、大阪で、お前、大名への貸金が、千六百万両、これを、二百五十年賦にされたら町人総倒れや。町人が倒れたら、武家だけで、天下がもつかえ」

七瀬も、綱手も俯向いていた。

「あの船は、お前、薩摩やで――」

上り過ぎた船を、一人が眺めていった。

「そや、薩摩や、あいつが、大体いかんね」

七瀬は、そっと、顔を上げて、その船を見た。そして

「綱手」

と、口早に囁いた。

「あれは――」

七瀬は、顔を左、右に動かして、遠ざかり行く船の中から、何かを求めていた。

「母さま」

「牧では――牧ではないかしら」