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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
「異状は、ござりませぬが――」
と、いった時、さっき見た幻の顔が、島津家兵道の秘法を司っている牧仲太郎に似ているように思えた。ただ、牧は、もっと若かった。
(調伏――もしかしたなら)
七瀬は、こう感じると、冷たい手で、身体を逆撫でされたように、肌を寒くした。
「若、何を御覧なされますな。左源太が、追っ払ってくれましょう。どっちから?――あっちから?」
と、寛之助の顔をのぞき込むと、左源太の指している方を、ちらっと見て、うなずいた。左源太の指は、屏風の方を指していた。七瀬は、もう一度、頭の心から冷たくなってしまった。
「頼むえ」
お由羅が、こういって、一間へ入ってしまうと、手をついていた侍女達が、頭を上げて、二人が、襖のところへ、三人が、廊下の入口へ、ぴたりと坐った。そして、懐剣の紐を解いた。
お由羅が入ると、青い衣をつけた、三十余りの侍が、部屋の隅から、御辞儀をして
「用意、ととのうております」
部屋の真中に、六七尺幅の、三角形の護摩壇が設けられてあった。壇上三門と称されている、その隅々に香炉が置かれ、茅草を布いた坐るところの右に、百八本の護摩木――油浸しにした乳木と、段木とが置かれてあった。