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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

三人は、未だ、黙っていた。

「世間も、乱れて参りましたが、当家も乱れて参りましたな、母上」

「そうかえ」

「父上が、近頃、少し、愚に返っておられる。のう、父上」

「何を申す」

斉興は、苦笑して

「何か、急用でもあるのか」

「ござります」

「又、お金かえ」

「母上、支那の楊貴妃を御存じでしょうが――譬えますと、父上は、玄宗皇帝――」

将曹が、おどけ調子で

「天にあって比翼の鳥、地にあっては連理の枝」

「暫く、黙っておれ」

久光は、将曹を睨みつけた。

「初めの政治は、よろしゅうござったが、楊貴妃を得て、だんだん悪政になりましたな。な、父上」

「わしが、それで玄宗か」

「左様、十年前の父上は、寝るにも、木綿蒲団でござりましたな」

「それは、久光、手許不如意であったからじゃ。今の身分で、これなんぞ、決して奢りではないぞ」

「いや、物よりも、お心持が――島津家は、代々世子が二十歳になれば、家督を譲る筈でござりますが、兄上は、四十を越しましてござりましょう。而も、将軍家から、父上は御茶入を拝領して、隠居せよと、謎をかけられていなさるのに、未だ、頑張って――近頃、いろいろの噂の大半は、ここにも原因がござります」