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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

眉が、脣が、歪んだ。

往来の人が、立止まって、二人を眺めていた。庄吉は、自分の住居に近いだけに、自分の仕事を人に見られたくなかったし、弱味を示したくもなかった。

しびれるように痛む手に、左手を添えて、懐へ、素早く入れた。そして、一足退って

「折ったなっ」

「江戸は物騒だ。気をつけい」

小太郎が、嘲笑して

「印籠は、くれてやる」

庄吉は、口惜しさに逆上した。左手を、小太郎の頬へ叩きつけようとした時、何かが、胸へ当ってよろめいた。踏み止まろうと、手を振って、足へ力を入れた刹那、足へ、大きい、強い力が、ぶっつかって――青空が、広々と見えると、背中を、大地へぶちつけていた。手首の痛みが、全身へ響いて、庄吉は、歯をくいしばって、暫く、動こうにも、動けなかった。

(取乱しちゃ、笑われる)

ちらちらと、富士春の顔が、閃いた。

「野郎っ――殺せっ」

そうとでも、怒鳴るより外に、仕方がなかった。足で、思いきり蹴った。起き上ろうとすると、手首が刺すように痛んだ。

「殺せっ」

庄吉は、首を振った。小太郎の後姿が、三四間先に見えた。

「待てっ」

左手をついて、起き上ろうとして、尻餅をついたが、すぐ、飛び起きて