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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

「御心中は、某も、同様――」

「時日、場所共、存分に、御取決めを願いたい。某は、只今即刻にても、苦しゅうござらぬが――」

月丸は、小太郎を、促すように、云った。

「よく、この宿が判りましたのう」

月丸は、答えないで頷いた。

「妹でも、申しましたかの」

「いいや」

「武士として、かく、申し込まれた上は余儀ない事でござろう。承引仕ろう。場所は――何分、不案内の土地のことゆえ、御貴殿の方にてよろしく、お選み願いたい」

「夜も、更けたことゆえ、邪魔物もござるまい。その橋たもとは?」

「成る程」

小太郎は頷いた。

「御一人でござろうな」

「申すまでもござらぬ。余人の手を借りて、卑怯の振舞をなす如き――」

「いやいや、御貴殿のことは疑い申さんが、当地へ参るまでに、様々のことが、ござって、用心の上にも、用心と――」

「御尤もの儀」

「勘定、その外のことを片づける間、暫く、お待ち願いたい」

小太郎は、少し、腑に落ちぬこともあったが、月丸の、偽らない申し条を聞いて、断る訳には行かなかった。口実を設けて、断られぬこともなかったが、同じ家中の者として、そんな振舞はしたくなかった。

下へ降りて行って、番頭に、急に立つから、といい、番頭を外へ出して、街の様子を見にやったが、怪しいこともなかった。