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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
「小太郎殿――申訳ござらぬ」
月丸は、死んで行く綱手を、しっかと抱きしめていた。
「あーっ」
綱手が、微かに、呻いた。
「うれしい――一緒に――」
と、いうと、微笑んだ。
人が、だんだん、集まって、三人の周囲へ近づいて来た。提灯の明りに、三人の姿が、はっきり現れて来た。
「綱手っ、駄目かっ、死ぬのかっ」
月丸は、綱手の顔を、じっと凝視めたが、そのままで返事は無かった。月丸も、死ぬものと信じて、二人手をとって行く夢を見ながら死んで行く綱手の純情を思うと、月丸は、身体中をしめつけられるように、苦しくなってきた。
「牧殿、勝負は、後日に――葬いを、お頼み申す」
「不覚の段、お許し下され」
と、いうと、月丸は、綱手の胸へ顔を伏せた。小太郎は、懐から、金子を取出して、綱手の、帯へ押込んだ。そして
「南無阿弥陀仏」
と、念じて、首を垂れていたが、静かに立上った。
「仙波氏」
小太郎を見上げた百城の顔は、綱手の血で染っていた。
「某を討果して――」
「何を――いずれは死絶える家でござる。縁あれば――」
小太郎は、微笑んで、足早に、人込みの中へ消えてしまった。
移り行く
富士春の頭髪には、油気さえ、少くなっていた。