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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

礼を正しくして、斬る外はあるまい」

「うむ」

一人は、俯向いて、じっと、土間を、見入っていた。

群集が、どよめいて、動いた。僧侶が二人、その中を掻分けて出て来た。足軽が

「何用で」

と、咎めると

「死体に、坊主は、つきものじゃで」

と、笑いながら、小走りに、死体の方へ走って行った。その後方へついて来た西郷吉之助は、群集の前に立って、僧侶が、死体へ、黙祷して、合掌すると同時に、自分も、合掌して、首垂れた。四辺の人々も、皆合掌した。

赤山靱負は、うすら寒い、暗い、自分の部屋で、書類を破り棄てていた。一寸見ただけで、破ったり、暫く、読み返してみてから破ったり――。

靱負の前には、女房と、老人の用人とが、その破った書類を掻集めたり、一面に陳べてある、刀剣、書物へ、細長い白紙を、貼ったり、差込んだりしていた。二つの、大きい手函の中の書類を、悉く、破りすてると

「焼き棄てえ」

靱負は、少し、眼瞼の赤くなっている女房の眼へ

「庭で――」

「はい」

女房は、静かに、立って行った。そして、廊下で、手を叩いた。遥かのところで

「はい」

と、いう返事がした。庭番が、来たらしく、女房が、何か命じていた。