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なんがさんだい
南画三題
中谷 宇吉郎
白端溪硯「東京新聞」1956(昭和31)年6月23日<br>墨と硯と雪と「週刊サンケイ 1巻12号」サンケイ出版、1952(昭和27)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,372 字 · 11 页
うちにある雪の絵は、湯川さんが賛をしてくれたものだけである。これには学士院賞をもらった時に、お祝に作ってくれた歌が書いてあるので、無事に残ったわけである。
一片の十勝の雪を手にとりて
人住まぬ空のたより聞くかも 秀樹
私の雪の研究は、野外の仕事としては、十勝岳の中腹で、天然雪の結晶の顕微鏡写真をとることから始まった。そして低温実験室の中で、これ等の結晶を人工で作る実験の方へ進展して行った。人工で各種の型の結晶が出来れば、地上で結晶の形を見て、こういう型が出来る時の上空の気象状態が推定出来るわけである。結晶は上空で出来て、地上へ降って来るのであるから、降雪中の上空の気象状態の推定に、この方法を使うのは、一寸面白い方法である。本当は海軍の委託研究で、雪中飛行の研究として始めたものであるが、湯川さんの歌のようにしてみると、なかなか風雅なところもある。
(昭和三十一年六月)