轻松读懂日语经典作品
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ぜんこんどんこん
善根鈍根
佐々木 邦
「オール読物」文藝春秋社、1935(昭和10)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,638 字 · 28 页
「そんな皮肉を仰有らないで。よう、金三郎さん」
「考えて見ましょう」
「私、あなたに出て戴かないと困りますわ」
「何故ですか?」
「あなたと仲が好かったのを先方で知っているんですから。しかし約束も何もなかったと申上げてあるんですから」
「…………」
「それですから、出て下さらないと、私、変に思われますわ。妹として最後の親切を尽して下さいよ」
「仕方ありません。出席しましょう」
「何うぞ」
「もうこれで失敬します」
「まだ宜いのよ」
「いや、実は昨夜寝られなかったんです。僕は神経衰弱になるかも知れません」
藤浪君は好い面の皮だった。貞代さんを失うばかりでなくその結婚式に列席しなければならなかった。禍は単独で来ないという。悪く廻り合せると何処までも悪い。暑中休暇中腐り切っていた。義理を果してから間もなく上京したが、今度は勉強が出来なくなってしまった。失恋した人間は神経衰弱を起すという暗示が利いたのである。何うも面白くない。自分が甚だ詰まらないものゝように思える。同級生に慢性の神経衰弱で始終むずかしい顔をしている男があったから、徴候を訊いて見たら、割符を合せたようだった。イヨ/\本物の神経衰弱だと思い込んだ。