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よねんかん
四年間
山本 周五郎
「新青年」博文館、1946(昭和21)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,135 字 · 36 页
に当面する生活のなかで、互いの心が強く結びつくのをはっきりと二人は知ったのである。……戦争が終わったときの昂奮は忘れられない、信三はその夜昌子と二人きりで、おそくまで研究所の書斎で話をした、
「さあ、これから僕たちのたたかいが始まるんだ」
彼はなんどもそう云った、
「今日からこの仕事は僕個人のアルバイトではなくなった、きちがいじみた破壊と惨虐……僕は大陸の戦場でそれをこの眼で見ている、……その破壊と惨虐とを償なうために、僕はこの研究を捧げるよ」
彼は唆られるような態度でしきりに書斎の中を歩きまわった、
「どうかこれからも僕をたすけてくれたまえ、それから、もう一つ相談があるんだが……」
そう云いかけて、しかしそのまま口をつぐんでしまった。
今年の二月になって、上諏訪へ休養旅行をしようという話が出た。昌子はその口ぶりから、終戦の夜「相談がある」と云いかけて止めた言葉のあとが、その旅行のあいだに話しだされるだろうということを感じた。計画はいろいろな理由で延び、ようやく実現するはこびになったのだが、そして兄たち夫婦に祝われて家を出たのだが、出発の一歩てまえで中止されてしまった。