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よねんかん
四年間
山本 周五郎
「新青年」博文館、1946(昭和21)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,135 字 · 36 页
「お姉さま」と、昌子は兄嫁の言葉をさえぎった。そしてどこかをじっと見つめるような姿勢で、かなりながいことなにか考えていた、
「……そうだわ、お姉さまのおっしゃるとおり、村野先生は橋本の家族をこのお金で救おうとしていらっしゃるのよ、でも、あたしにはただそれだけではないような気がするわ、ほかになにかわけがあるような、……そうよ、きっとなにか他にわけがあるのよ」
その夜はとにかく通帳は預かっておくことにして寝た。……昌子の心に生じた一種の予感のようなものは、日がたつにしたがって強くなった。十万円という金額はたやすいものではない、それは恐らく新しい研究所を建てるはずの資金の中から出したものだろう、もしそうとすれば、研究所の新築は止めるつもりだとみるより他はない、自分との結婚も中止し、研究所の増築もやめる、この二つは別々のことではなく、なにか一つの原因から生まれたとみてはいけないだろうか。
「知らなくてはならない」昌子は改めてその欲望を激しく感じた、「……本当の理由を知らなくては、そして自分にはそれを知る権利があるはずだ」
昌子は信三とじかに話す決心をし、その機会のくるのを待った。