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よつや、あかさか

四谷、赤坂

宮島 資夫

「東京日日新聞」1927(昭和2)年10月4日~9日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,947 字 · 18 页

青空文庫

学習院のなくなったのはもう古い昔だ。それと同時に、山岡の原にも家が建った。その原は、私の生れた伝馬町からの突き当りで、原の前に伊庭塾があった。子供の時前を通ると、竹刀の音がすぐ聞えた。星享の殺された時、刺客伊庭想太郎の名前を見て、私はあの高い塀と、塀の中の竹刀の音を思い出した。伊庭孝君と知り合になったのは、それから十四、五年も後の事で、逢えば四谷の事を話し合う事もある。

離宮わきの坂を下ると、紙器会社のある所は、以前は赤土の山で子供が戦ごっこをする長井の山という山であった。私達はあの山を越えて、青山の練兵場から、三つ又のトンネルという溝川の方まで泳ぎに行った。

四谷の須賀神社の祭礼と神輿、山の手方面ただ一つの酉の市、等についても語りたかったがもう紙数がつきた。

更に赤坂に入って書く筈だったので、青山練兵場について考えると、明治天皇時代の観兵式、年老いた大尉の号令、――それから英照皇太后の御葬儀、古い事が頭に浮ぶ。然しその青山も、昔日の姿はもうなくなった。そして明治神宮外苑のトラックに、スポーツの興味を集めている。私は余り古きを書き過ぎたようであるが、新興現時の東京は、誰が歩いてもすぐに如実に眼に映ることだから。