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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
こんなところにぐずぐずしている場合ではなかったです」
帆村は気色ばんで、大声でいった。
「どうしたんだ、君……」
「お末をこの前調べましたね。あの時お末がここでお手伝いをしているかたわら、夜は河田町のミヤコ缶詰工場の検査場で働いていると自供したじゃありませんか」
「おお、そうだった」
検事は呻った。あの調べのときは、お末をも問題視せず、またお末が缶詰工場で働いていることも、彼女がたいへんによく働く人間だと思った外に、別に気に留めなかった。だが今となっては、帆村の指摘する通り、彼女の勤め先が「缶詰工場」であることは非常に重大なる意義があるのだ。
「だから、佐々さんだけに委しておけませんよ。これからすぐにわれわれも出かけましょう。まずお末さんのアパートへ行って家宅捜索をした上で、河田町のミヤコ缶詰工場へ廻ったがいいと思います。きっと何か掴めると思いますねえ」
「そうだ。大寺君。われわれ一同は、すぐ出掛けよう」
「いいでしょう。――で、やっぱり問題の缶詰の中に毒瓦斯がつめてあったという推定で捜査を進めるのですね」
「あ、そのことだが……」
と帆村が手をあげて抑えた。