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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
それはそれとしてこの物語の上では、まだ書き足りないところがあるようだから、それを補足しておきたい。帆村は、長谷戸検事たちと一緒に、お手伝いお末のアパートへ出発しながら、いつの間にか旗田邸に戻っていた。そのわけは、帆村が旗田邸内にトリックを仕掛けておいたので、それにひっかかる相手の様子を見るために、自動車が通りへ出ると間もなく車を停めてもらって、彼は旗田邸へ引返したのであった。もちろん検事には、このことを予め打合わせずみであった。トリックというのは、もちろん旗田亀之介を鶴彌の広間へひき出して、あの灰皿の上の黒ずんだ灰を盗ませるためだった。そしてそれを確認するために、警官の一人を洗面所のカーテンの蔭にかくしておいたことは、既に陳べたとおりである。
一方検事たちの一行は、お末のアパートの捜査をすませたのち、ミヤコ缶詰工場へとびこんだ。まず問題は、お末すなわち本郷末子の行状を調べることと、例の空き缶についていた未詳の指紋の主を探しあてることだ。お末の評判は悪くなかった。すこしヒス気味ではあるが、仲々よく働く女で、この工場でも相当目をかけていることが分った。