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じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页

青空文庫

「そこでわしと小林さんは、家へ入ってお手伝いのお末さんも呼び、どうしようかと相談しました。その結果、二階にお休みになっている旦那様の弟御さま――亀之介さまのことでございます――弟御さまを先ずお起ししにかかったんですが、はあどうも、弟御さまは御返事はなさるが一向起きておいでがない。そして段々時間も経ちますので、わしらは困っちまいましてな、そこでとうとう三人で戸にぶつかって錠をこわして中へ入ってみましたんで。あとはごらんになったあの通りでございます」

語り終った芝山は、汗をかいていた。

「主人の死んだことについて、何か心当りはないかね。なんでも正直に申立てるように。誰に遠慮することもいらんから、どんなことでもいってみたまえ」

「はあ」芝山はしばしうなだれていたが「さあ、わしは通勤者じゃで、お邸の夜の出来事にはさっぱり見当がつきませんので……」

「土居三津子という若い婦人を見たことがないかね」

「今朝見ましてございますが、それが初めてでな、前には見たことがございません」

「あの娘が主人を殺した犯人だとは思わないか」

「存じません。全く存じません」

「亀之介という人は怪しいとは思わないか。