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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
「そんなことは言訳にならないねえ。誰でも引金を引きさえすれば、弾丸は銃口から真直に飛びだすんだから……」と、検事は軽く一蹴して置いて、
「もう一つ伺うが、あなたの部屋を入ったすぐ右手の茶箪笥の上に花瓶が載っているが、花は活けてない。あの花瓶はいつから空になっているんですか」
妙な質問に、家政婦は警戒の色を浮べながら、
「あのう、あの花活から花を捨てましたのは昨日の朝のことでございます。その花活がどうかいたしましたか」
「その中に、このピストルが隠してあったのですよ」
「まあ……」
「それについてどういう感想をお持ちですかな」
「何にもございません。全くわたくしの知らないことでございますから……」
「昨夜深更にこのピストルで主人を射殺しそれからこれをあなたの部屋の花瓶の中に隠した。なかなかいい隠し場所ですね。そういうことをなし得る立場にある人物は、極めて数が少いのですぞ。その当時この邸に居合わせたのは、実にあなたひとりである。そうでしょう。だからあなたは、もっとはっきり自分の立場を明らかにする必要がある。そう思いませんか」
家政婦の顔から血の色がなくなった。しかし彼女は懸命になって叫んだ。