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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
ぺこんと頭を下げる。五十歳をちょっと過ぎたというが、五分ぐらいに刈った短い頭髪が、額の両側のところですこし薄くなっている。血色のいい顔、大きな体の持主だ。
「これは特別に君の耳に入れて置くんですがねえ」と帆村が手帳を拡げて、仔細あり気に芝山の顔を見た。
「実は、ピストルが見つかったんです、一発だけ撃ってあるピストルがねえ」
「はあ。わしはピストルは見たこともねえでがす」
「いや、君のことじゃない。……そのピストルが隠してあったところが、ちょっと問題なんだがねえ。はっきりいうと、それは家政婦の小林さんの部屋なんだ」
「えっ、……」
明らかに芝山は衝動を受けた様子。
「小林さんの部屋を入って右手に二畳の間がある。そこに茶箪笥があって、その上に花活が載っている。花は活けてない。水も殆んど入っていない。その花活の中に問題のピストルが、銃口を下にして隠してあったんだ。いいですか」
「へえへえ」
芝山の眼は落着を失った。
「さあ、そこであなたに特に知らせて置くわけだが、そのピストルは小林さんが使って主人を撃ち殺し、そのあとで自分の部屋の花活の中に隠した――という嫌疑が小林さんに懸っているんだ」