轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なつむしあんどん

夏虫行燈

吉川 英治

「婦人倶楽部 別冊付録」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,200 字 · 37 页

青空文庫

彼の自白に依って、総ては、明白になった。

市之丞も又、かねてから、お小夜を恋していた一人だったのである。

だが、お小夜はそれも、平四郎に対するのと同じように、何の警戒もしなかったし、甚三郎に向って、べつに注意もしていなかった。

――けれど市之丞としては、多年の恋に、業を煮やし、あらゆる術策を尽した上の――自暴自棄なのであった。その果に、彼女の良人と選ばれた甚三郎を、自滅させる為に、二人の浪人を雇って、歌仙本を盗めと唆かし、城内へ忍び込む手引までしてやったものである。

だが、市之丞の為た手口も、洗ってみると、極めてまずい、坊っちゃん仕事でしかなかった。――やはり焼け死ぬ虫は愚には違いないが、無心の絵行燈の灯皿の方に、むしろ罪ふかいものがある。無心であっても、罪ふかい灯のまたたきに、処女は心しなければならない。

(昭和十三年八月)