轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おおおかえちぜんのどくりつ
大岡越前の独立
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《大岡越前の独立(おおおかえちぜんのどくりつ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,968 字 · 24 页
一
一
便室(老中が、城内で、親しい者と話をする小部屋)の襖を開けると
「急用で御座りますかな」
と、口早にいって、越前守は、松平伊豆守信祝(信綱の曾孫)の前へ坐った。
「急用と申すほどで無いが――天一坊と申す者の噂を聞いたか?」
と、信祝は、唇で微笑しながら、じっと越前守の眼をみた。越前守は、頷くと
「何か、所司代より申越して参りましたか」
奥坊主が、廊下で
「お茶をもって参りました」
と、大声を出した。越前守が、手を叩くと、襖を開けて
「お寒う御座ります」
と、御叩頭をして、二人の前へ、茶を置くと、淑かに出て行った。茶室好みの小部屋へは、もう夜が、隅々へ入っていて、沁々と冷たさが沁んだ。
「御落胤と称して、確かな証拠品も所持致す由、今、御上へ、御覚が御座りますか、と聞くと――」
信祝は、高声に、笑うと
「お上もあれで、若い時分には、中々御たっ者だったのだのう。まだ、もう二人いるはずだが、と、そう現われて来られては堪らぬ。そこで、――もし、正真の御落胤であった場合には、何う処置してよいか」
信祝は、ここで言葉を切ると、じっと、唇を曲げながら、越前を見た。越前守は、黙っていた。