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おおおかえちぜんのどくりつ
大岡越前の独立
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《大岡越前の独立(おおおかえちぜんのどくりつ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,968 字 · 24 页
七
「そこで、これは、宝沢の書いた字にちがいないと思うが、どうじゃ」
「はいはい、左様で御座いましょう」
と、宇兵衛が、首を曲げて覗いていると、一人の侍が
「偽りならば、偽りと申せ」
と鋭くいった。
「いいえ、正しく、宝沢さんの手で御座います、はい」
「偽りであるまいの」
「いいえ、貴下様――」
と、宇兵衛は、眉を歪めた。
「村方の者共、天一坊のことを、いろいろと取沙汰致しておるが、並の噂とは、ことかわり、迂闊に、宝沢が天一坊などと申すと、咎めに遭うぞ」
宇兵衛は、膝の上へ頭をすりつけるように叩頭した。
七
大岡越前守の手の紀州調べの使として、同心平田三五郎、外一人の者が、平沢村へきた。そして、第一番に、郡奉行の所へくると
「重々、お詫び申上げねばなりませぬ」
と、郡奉行は、二人を客間へ案内すると、すぐにいった。
「お詫びとは?」
「以前、御老中松平信祝様より、御取調べの御使の参られました節、俄のこととて、取調べも仕らず、と、申しまするは、拙者が当地へ赴任仕らぬ前のこととて、一向に何事も存じ申さず、その由を申上げておきました所、紀州家にてもいろいろの御詮議あり、先日、御落胤に疑い無き宝沢と申される方は、実は、何者のためにか、ここを去る三里余り、四方形峠の辻堂にて御殺害にお遭いなされたよし、その殺害者が、当時の天一坊と思われます