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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

私は負けて障子をビシャリと閉めた。

瞬間私は、私の小説はまさにその不愉快な娘さんにそっくりではないかと気づいた。私は悲しい、――というようなことを読者に押し売りしているような小説を、私は特に好んで書いている。

「――なんちゅうこっちゃ」

それがどういう意味で、きっかけになったのか、私は自分でわからないが、その日、それをきっかけにして私は浅草へ行った。

国際通りに六区の小屋の連中の休憩所のような感のあるサカタというミルク・ホールがある。(そこは、その年、すなわち昭和十三年の十二月に綺麗に改築されて、それまではミルク・ホールと看板に書いてあったが、ミルク・パーラーと改められた。)そこへ私はミルク・コーヒーを飲みに行った。

私は誰にも会いたくなかったのだが、いや会うことを何か恐れていたのだが、そこで私はドサ貫に会った。

ドサ貫と私とは「惚太郎」で会っただけだが、美佐子からドサ貫が私を知っているということを聞いたせいか、知り合いのような錯覚をおこして、「やあ」と挨拶し、ドサ貫がびっくりしたように眼をパチパチさせたので、錯覚に気づいた。そのときはすでに私は彼の前の椅子に腰掛けていた。